軽く見えないサンダル
日中は暖かさも安定してきて、足元も少しずつ軽やかにしたくなってくる季節。
ただ、まだ軽くなりきっていないトップスとのバランスが取りづらい、そんな場面もあるかと思います。
サンダルは特にそのバランスが難しく、ラフに寄りすぎてしまうと全体の印象が崩れてしまうこともあります。
そんな中で、今の時期からでも取り入れられるサンダルがあります。
PETROSOLAUM Cage Sandals(Horse Membrane-CAMEL)

まず目を惹いたのは、アッパーを覆う編み組織です。


革紐が幾何学的に組み上げられ、隙間から光と影が差し込む。
サンダルというよりも、ひとつの工芸品を見ているような感覚があります。
アッパーの編み目部分は、竹細工に用いられてきた”八つ目編み”という伝統技法を、革で表現しています。

竹細工の中でも複雑な構造で難しいとされる八つ目編みを革で再現すること自体、容易ではありません。
さらに編み上げた生地をズレやほどけのないようアッパーへ縫い付ける工程は、機械では不可能で、既製履として生産するにあたっても非常に手間と時間のかかる作業です。
それでも一切省略しない。
そういう作り込みの姿勢が、このサンダルの随所から伝わってきます。

編み目はしっかり詰められており、いわゆる軽快なメッシュサンダルとは一線を画す、重厚さと品のある佇まいに仕上がっています。
素材にはしなやかで丈夫な馬革を使用しています。
足馴染みも良く、見た目の重厚な印象に反して軽さも感じられます。

ストラップには3つのホールが設けられており、ソックスの有無や着用によって伸びてきても調節が可能です。

ヒールはソールを積み上げて高さを出し、アッパーもわずかに立ち上がることで、全体のフォルムが革靴を思わせます。


さらに、アッパーはサンダルでありながら手吊り込みによって立体的に成形されています。
踵にはその工程の名残としてタックホールが残ります。

こういった細部からも、革靴に通じる手仕事を感じます。
サンダルでありながら、重厚感、高級感があり、足元が軽くなりすぎない絶妙なバランス。
PETROSOLAUMらしい妥協のない作り込みを、是非足を通して体感してみてください。
足元に迷う季節に、ひとつの答えになるかもしれません。
執筆者 中村鴻大


