涼やかな黒、繊細な手仕事
黒という色が持つ「重さ」が、素材の質感によって軽やかに塗り替えられる。
YUTA MATSUOKAのShirring Lawn Bib Front Shirtを手に取ると、そんな感覚を覚えます。
・Shirring Lawn Bib Front Shirt(BLACK)



黒のロングスリーブシャツ。一見すると重厚な印象を感じますが、こちらの作品が纏っているのは、むしろ風を通すような涼やかさ。
その理由は、細番手の糸で織り上げられたコットンローン生地にあります。

コットンを基布とした生地に格子状にポリウレタン糸を打ち込んだことで細かなシボが現れ、仕上げにワッシャー加工を施しさらにシワ感を重ねています。
肌への接地面積が減り、肌離れが良く快適な着心地を生み出しています。

光にかざせば、向こう側が透けるほどの薄さです。
通気性に優れ、非常に軽量であるため、黒でありながら軽やかでふんわりとした質感が生まれます。
こちらの作品の顔とも言えるビブフロントは生地を縫い合わせるのではなく、断ち切ることで表現しています。
断ち切られた境界には、バイヤスカットされた色柄の異なる別布をはぎ合わせることでそのラインを強調させています。


この立ち切りのディテールはビブフロントのみならず、カフスや背面のインボックスプリーツにも施されています。
端正な佇まいの中に現れる荒々しくも繊細な手仕事。
このエッジの効いた表現がYUTA MATSUOKAらしい。



ジャケットやコートのインナーとして挿すことで、このシャツが持つ端正さと荒々しさがチラリと顔を覗かせ、装いに深みをもたらしてくれます。

一枚でも、インナー使いでも、この涼やかな黒を是非味わってみてください。
執筆者 中村鴻大


