かたちになって届きました
少しずつ空気も和らぎ、季節が移り変わっていくのを感じるこの頃。
庭では黄色や青の小さな花が咲きはじめ、ピンクの芽がふくらみだしています。



ここ最近の暖かさに後押しされるように、桜も少しずつ花を広げはじめました。

冬のあいだ静かだった周囲の景色が、気づけばずいぶん賑やかになってきました。
そんな中、昨年11月に開催した展示受注会「孤独が出逢う時」でご注文いただいたNishimaki Leather Sandalsの作品が仕上がってきました。
発送前にいただいたお電話がとても印象的でした。
物静かな印象の西巻さんですが、話されるその声色からは、穏やかな中にどこか弾んだものが感じられました。
「これまで開催してきた受注会の中でも、Solitaryのお客様は特に革への注目度が高かった」
「普段はあまり選ばれない革ばかりが選ばれ、制作していてとても楽しかった」
と嬉しそうに話してくださいました。
その言葉の奥に、作り手としての喜びのようなものが感じられ、こちらまで嬉しい気持ちになりました。
仕上がってきたご注文品はどれも個性豊か。
同じモデルや革でも選ぶ部位やお客様それぞれの足形によって異なる表情を見せているのが印象的でした。
デザイナー自らの手で一人一人の足を採寸し、ビスポークでサンダルを製作するNishimaki Leather Sandalsでは5つのモデルが展開されています。
・解剖学、人間工学に基づき、足本来の動きを阻害せず歩きやすさを追求した「Comefly」
・「Comefly」と同じ考え方を軸に、脱ぎ履きのしやすいデザインにした「Harry」
・シャワーサンダル型で、シンプルな分選ぶ革によって印象がガラッと変わる「Serenade」
・「Serenade」をベースに装飾としてタッセルが付いた「Tassel」
・人間本来の足の動きを活かすためサンダルの起源を振り返った最も簡素なデザインの「Roots」
先の展示受注会でご注文をいただいた中から、一部の作品をご紹介したいと思います。
様々な種類の革の中でも、一際注目を浴びていたのがこちらのCordovan Shrinkという革。

試作的に製作された革とのことで、今後同じものが手に入るかは分からないという、特別なものでした。
実際にご覧いただいた方の多くが、その独特な質感に見入っていたのが印象に残っています。
さらに、サンダルの印象を大きく左右するアッパー部分に、どの部位を使うかまで選ぶことができたことで、同じ革であってもそれぞれ異なる表情に仕上がっていました。
こちらの革では「Comefly」「Serenade」でご注文をいただいておりました。
・Comefly

・Serenade

もうひとつ注目を浴びたのがこちらのオットセイ革。
深い畝のようなシボが特徴で、Cordovan Shrinkとはまた違った存在感を放っています。
・Serenade

こちら革では「Serenade」で2足のご注文をいただきました。
同じモデルのアウトソールが異なる仕様で、ぞれぞれの個性が感じられます。
クッション性のあるVibram8327をお選びいただいたものは、ステッチが表に出ることでカジュアルな印象に。(手前)
もう一方はヒール仕様をお選びいただき、縫い目が表に出ないすっきりとした佇まいに仕上がっています。(奥)

こちらは「Comefly」で革はbuffalo革をお選びいただきました。

足の甲や横幅が広く、既製品ではなかなか合うものに出逢えないというお悩みをお持ちのお客様でしたが、西巻さんがご自身の手で採寸を行ってくださるため、サイズに対する不安を感じることなくご注文いただけました。

今回唯一の明るいトーンとなるこちらは、「Comefly」にItaly Sheepのヌメ革をお選びいただきました。

フットベッドも同じくヌメで統一されています。
履き込んでいくことで色合いが深まり、時間とともに変化していく過程も楽しんでいただけそうな作品に仕上がっています。

こちらは私がKudu革でオーダーした「Serenade」です。

野生味のあるこの革が好きで、以前から気になっていました。
PETROSOLAUMのH Chukkerでも同じ革のBLACKが展開されていて、そちらもいずれ手に入れたいと思っていたので、同じ革でサンダルも揃えられるならと、この革を選びました。

お客様それぞれの足に合わせて採寸されたサンダルは、ウィズや踵の大きさ、甲の高さにまで違いが出るほど、一足一足が異なる表情を持っていました。
同じモデルであっても、革や仕様、足の特徴でここまで違いが出るのかと、改めて実感いたしました。
こうしてご注文いただいたそれぞれのサンダルを眺めていると、あの展示受注会での時間が、そのまま形になって戻ってきたような感覚になります。
お渡しできる日が、とても楽しみです。
執筆者 中村鴻大


