なぜ天然素材ばかりなのか
Saltyで勤務しながらナイロンやポリエステル素材の作品に触れていると、Solitaryには天然素材を使用した作品ばかりだということにあらためて強い意味を感じます。
綿や麻など、自然の風合いを活かした生地。
便利な化学繊維もたくさんある中で、なぜ、これほどまでに天然素材のものばかりにこだわっているのか。
そこにはSolitaryが大切にしている明確な理由があります。
それは、作品と過ごす時間の違いです。
化学繊維の生地は機能性に優れていたり、虫食いなどの心配もなく、ガシガシ洗えるイージーケア性もあったりと、便利で高機能な素材が多くあります。
しかし、数年経つとどうしても生地が劣化してきたり、臭いや汚れを吸着してしまったりする面もあります。
生み出された瞬間が一番綺麗で、基本的にはそこから徐々に劣化していくのです。
けれど、天然素材のものは全く違います。
生み出された瞬間が完成ではなく、そこからが始まりのようなところがあります。
何度も身にまとい、洗い、永い時間を共にしていくうちに、生地は自分の体や生活に馴染んでゆきます。
古くなるのではなく、使うほどに味わいが増していく。
そんな風に永く付き合えるという時間こそが、天然素材を選ぶ理由の一つです
そしてその永く付き合えるという面は、私たちの足元にある環境への配慮とも深く繋がっています。
例えば、化学肥料や農薬を極力使わずに育てられたオーガニックコットンは、肌への刺激が少ないだけでなく、土壌や水質汚染を抑えることにも貢献しています。
そして、それ以上に環境への優しさが群を抜いているのが大麻(ヘンプ)です。
大麻は農薬や化学肥料をほとんど必要としないだけでなく、栽培に必要な水の量もごくわずか。
さらに、成長が驚異的に早いため、痩せた土壌や砂漠や荒地のような環境下でもすくすくと育ち、収穫後の土壌を豊かに整えてくれる性質まで持った究極のサステナブル素材です。
そんな大麻には、吸水性や速乾性、調湿性といった優れた機能性の高さがあり、繊維も非常に丈夫。
着込むほどに柔らかく馴染みどんどん風合いが増してゆく、まさに永く付き合っていくことのできる素材なのです。
このように地球にも人にも優しい天然素材ですが、現代の世の中を見渡してみると効率や利便性を追い求めた、扱いやすくて便利な服が溢れています。
気がつけば身の回りには化学繊維が入ったものばかりになっていて、いつしか天然素材に触れたときの温かさや、違和感なく肌へと馴染む本当の心地良さを知らない人や、忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか。
Solitaryにある作品を見渡すと、洗うほどに柔らかくなるであろう麻の質感や、空気を孕んだような綿の柔らかさなど、素材そのものの息遣いが伝わってきます。
それは、効率や利便性ばかりが求められる日常の中でいつの間にか遠ざかっていた、生き物としての本能で感じる心地良さなのかもしれません。
Solitaryに天然素材ばかりを集める理由。それは、手にした瞬間がピークのものをただ消費していくのではなく、時間をかけて自分の体や生活に馴染んでゆく時間も楽しめるから。
そして、たとえ傷んでも修繕や染め直しを重ねながら、どこまでも永く使い続けられるからです。
手を入れながら大切にしていける天然素材だからこそ、飽きることのない本当の心地良さがあります。
執筆者 中村鴻大


