リラックスしながらエレガントに
昨年の秋冬シーズンにもリリースされていたKLASICAのSH-053。
身体との間にしっかりと余白が生まれるほどたっぷりとしたサイズ感が印象的なビッグシルエットのシャツです。
しかし、大きいからとただルーズに見えるわけではありません。
広く開いた首元や、広く取られた肩幅や身幅、やや長めの着丈にボリュームを持たせた袖を備えたリラックス感のあるシルエットが特徴です。
そして今シーズンのSH-053は、全体のサイズバランスを引き継ぎながらも印象がガラリと変わり、フォーマルなドレスシャツを思わせるエレガントな佇まいに仕上がってきました。
・Plain Big Shirts"SH-053"-CO(WHITE)


昨年のモデルでは近江晒しを施した風合いの強いがっしりとしたコットンダンプ生地が採用されていましたが、今作では100番手双糸のコーマ糸を高密度に織り上げたコットンブロードを使用しています。


さらりとした滑らかなタッチに程よいハリがあり、表面には美しい光沢も感じられます。真っ白な色合いも相まって、清潔感のある上質な印象の生地です。
細番手の糸で緻密に織られた生地は薄手ながらも頼りなさはなく、ふわりと膨らむようにフォルムを描くため、大きなシャツならではの分量感も美しく感じられます。
・サイズ3着用(169cm 77kg)



今作では胸ポケットをなくし、フロントはよりシンプルなデザインに仕上げられています。

さらに大きく変わったのが袖口のデザイン。



折り返しこそありませんが、ダブルカフスを思わせるような作りで、カフスボタンで留めたように見える仕立てになっています。
たっぷりと膨らむ袖をフォーマルな印象のカフスに仕立てた姿は非常に印象的。
滑らかなブロード生地や胸ポケットを無くしたすっきりとしたフロントとともに、今作のドレッシーな印象を強くしています。
そして個人的にグッとくるのが、その縫製の細やかさ。
縫製ピッチは非常に細かく、襟のコバステッチは端ギリギリのラインを走り、両脇線は極細の巻き伏せ本縫いで処理されています。




大きくゆったりとしたシャツだからこそ、こうした繊細な仕立てとの振り幅がより鮮明に感じられます。
たっぷりと生地を使った大胆なシルエットを、高級ドレスシャツを思わせるほど緻密に仕立てる。その組み合わせがたまらなく好きな部分です。
さらりと滑らかで光沢のあるブロード生地、胸ポケットを省いたフロント、ダブルカフスを思わせる袖口、そして細部まで行き届いた緻密な縫製。
リラックスしたシルエットはそのままに、今季は明確にドレッシーな方向へと仕上げられています。
大きくゆったりとしたシャツなのに、フォーマルなドレスシャツのようにも見える。その少し不思議な違和感が心地良く、リラックス感と品の良さの絶妙な塩梅が実にKLASICAらしい。
プレーンに見えて、とても個性的。
シンプルなスタイリングでも静かに存在感を放ってくれる作品です。
※KLASICAの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


