何がそこまで惹きつけるのか
店内に並ぶ様々な作品はどれも私自身が心から惚れ込み、その魅力を誰かに伝えたいと思うものばかりです。
しかし、そんな大好きな作品たちに囲まれている空間にあっても、日々眺め、触れているうちに、その中でも「一段と強く惹かれるもの」がどうしても現れてしまいます。
その中の一つが、Sans limiteのゴムパンⅢです。

ウエストがゴムとドローコードのイージー仕様である「ゴムパン」シリーズは、どれもブランドを代表する定番モデルであり、それぞれに異なる魅力を持ったリラックス感があります。
その中でも、この「Ⅲ」は、穿いたときのバランスが本当に絶妙なのです。
・サイズ1で着用(169cm 77kg)


まず目を引くのは、中太のストレートシルエットです。
太すぎず、細すぎず、それでいて穿いた瞬間に絶妙なゆとりのあるサイズ感。
「ウエストゴムのチノパン」と文字だけで聞くと、どこか野暮ったい印象を受けるかもしれません。
しかし、実物を前にすると、そんなイメージは一瞬で吹き飛びます。
何より圧倒されるのは、サイドの縫い代をあえて表に出したデザインです。
真っ直ぐ落ちるサイドのラインの中には、サンリミットの代名詞とも言える強烈なパッカリングがしっかりと現れています。


この激しい縮みが生み出す陰影によって、パンツ全体に圧倒的な立体感が生まれ、普通のチノパンらしからぬ凄まじい迫力を放っているのです。
そして、このパンツを見ていて非常に魅力を感じるのが、チノ生地だからこそのガシガシ着込めるタフさです。
何度も着用と洗濯を繰り返すことで、少しずつ色合いが薄くなってゆき、表面にはうっすらと起毛感が現れて、さらに風合いが増していきます。
一年、二年と穿き込み、全体的に柔らかい風合いが増したとき、このパンツは本当の意味で自分のものになるのではないか。
そんな「未来の姿」を想像してしまいます。
タフなチノ生地だからこそ許される、遠慮のない愛用。
それによって生まれるパッカリングのさらなる陰影や、使い込まれた道具のような佇まいは、着る人の生活がそのまま滲み出たような格好良さがあります。
これだけタフと言いつつも、生地自体にはゴワゴワとした硬さはなく、適度にハリコシのある程よい厚み。
素材は綿100%なので気を遣わず穿けてガシガシ洗えるというのも大きなポイントです。
季節を気にせず着用しやすく、気づけばこればかり手に取ってしまうであろう自分の姿が容易に想像できます。
チラリとしか見えていませんが、着用写真のように2本針シャツと合わせても良い感じ。
シャツの脇線のパッカリングとパンツのパッカリングの表情が自然に繋がる感じがします。

個人的には、裾をロールアップして着るのがやっぱり好きですね。

私がなぜ、これほどまでにこのパンツに惹かれているのか。
一度足を通してみれば、その理由をきっと分かっていただけるはずです。
執筆者 中村鴻大


