場所が変わっても
SaltyとSolitary。環境のまったく異なる二つの場所に立っていると、その空間がお客様に与える影響や、流れる時間の速さの違いに改めて気づかされます。
Solitaryでは、周りを囲む景色や店内の静寂をじっくりと味わうように、時間を気にせず作品一つひとつとゆっくりと向き合って過ごしていただくことが多いです。
一方で、街の中心地にあるSaltyでは、週末ともなれば県外や国外からの観光客の方も多く行き交い、活気に包まれ、時間のスピードも早く感じられます。
ふと私自身がこの忙しない街の景色の一部になっているような感覚を覚えることもあります。
そんな土曜日のSaltyで、Solitaryで度々お会いするお客様の姿を見つけました。
次々と人が通り過ぎていく街のなかで、知っているお顔を見つけた瞬間、張り詰めていた気持ちがふっと緩むような温かい安堵感がありました。
Solitaryという静かな店内で言葉を交わしたお客様が、場所を変えて、この忙しい街のなかにいる。その事実は、私にとって単純な「再会」以上の意味を持っていました。
これまで築いてきた信頼や繋がりは、店という境界線を越えて、お客様の記憶や選択の中にちゃんと残っているのだと実感できたからです。
私が大切にしてきたのは、単に服というモノだけではなく、お客様にとっての心地よい時間そのものだったのだと、街の喧騒のなかで答え合わせができたような気がしました。
そして、Solitaryで共有した時間は、そこから離れたあともお客様の関心の一部として続いている。そのことを目の当たりにして、純粋に喜びを感じました。
場所によって見える景色も時間の流れも違いますが、どちらも私にとって欠かすことのできない大切な場所です。
お客様と共有できたこうした時間が、これからの私の糧になっていくのだと実感しています。
3日ぶりのSolitaryでも、また皆様とお会いできますことを心より楽しみにしております。
執筆者 中村鴻大


