まだ染まっていないという魅力
灰草といえば、多くの人がまず「染め」を思い浮かべるのではないでしょうか。
デザイナー自らが手作業によって染めを施すことで、一つとして同じ表情のない唯一無二な色合いが生まれる。それこそがブランドの代名詞であり、人々を惹きつける大きな魅力です。
しかし、こちらのClassic Shirtは、あえて染めを施さない無染色でオーダーいたしました。
・Classic Shirt(ecru)


一見すると非常にプレーンな見た目ですが、染めを施さないことで、素材の質感や手仕事が遮られることなく、そのまま伝わってくる作品です。


大麻糸と綿糸で織り上げられたスラブ感のある生地を使用。不均一な糸の太さによる凹凸や自然な風合いが豊かな表情を見せています。
大麻混ならではの独特なジャリ感に加え、接触冷感のようなひんやりとしたタッチが心地良い清涼感のある生地です。

洗いざらしによって生まれた自然なシワや、生地本来の風合いまでも、この作品の表情として美しく成立しています。
フロントや袖口に配されたボタンは、灰草ならではの真鍮ボタン。
一つひとつが手作業で削り出されており、わずかな厚みの違いやエッジの歪みなど、それぞれに異なる表情が宿っています。


無染色の素朴な生地の上で、鈍く静かに光る真鍮。この小さなボタンに込められた手仕事の跡が、プレーンなシャツに独特な佇まいを与えています。
まだ何にも染まっていない、無垢な状態の一着。
それは、このシャツが持つ大きな魅力の一つでもあります。
まずはそのままの自然な風合いやジャリ感を存分に楽しんでいただき、着込んでいく中で染め直しに出してみたり、あるいはご自身で身近な草木や珈琲などを使って染めてみるというのも、このシャツならではの面白い付き合い方ではないでしょうか。
自分の生活の空気や重ねた時間が、そのままシャツの色になっていく。そんな風に、持ち主の手で衣服のこれからをデザインしていけることこそが、この無染色のシャツが持つ本当の愉しみです。
デザイナーの手仕事をありのままに味わい、やがて自分だけの一着へと育てていく。まだ何色でもないこのシャツが、これからの日常の中でどんな姿へと変わっていくのか。
その始まりとなるecruの美しさを、是非店頭でご覧ください。
なお、灰草の作品はブランドの意向により、ONLINE STOREでの掲載を控えさせていただいております。
作品の詳細につきましては、お電話またはメールにてお気軽にお問い合わせくださいませ。
執筆者 中村鴻大


