白シャツなんて何枚あってもいい
男女問わず幅広いお客様に支持を受けているSans limite。
同ブランドを語る上で欠かせないのが「白シャツ」。
「白の無地シャツ」と聞くと、誰もがクローゼットに1枚は持つ普遍的なアイテムを想像するかもしれません。
しかし、現在店頭には「全く同じコットンブロード生地」を使用した7型ものバリエーションが並んでいます。
同じ生地、同じ色で7種類。
初めてご覧になる方は少し驚かれるかもしれませんが、ここがSans limiteの凄さでもあります。
私自身、白シャツが好きで「何枚あってもいい」と考えていますが、Sans limiteのラインナップを見るたびにその思いは強くなります。
同じ襟の形でも、縫製の仕様やシルエットを少し変えるだけで、ここまで雰囲気が変わるのかと感心させられます。
今回は「レギュラー」「ワイド」「スタンド」の3つの襟型を順に書いていこうと思います。
まずはレギュラーカラーの2型。
・左:SH01B ブロードボックスレギュラーカラーシャツ(WHITE)
・右:SH01B ボックスレギュラー2本針シャツ(WHITE)


「SH01B」は、最もベーシックなレギュラーカラーをベースに、縫製の違いで全く異なる二つの表情を作り出しています。
2枚袖の立体的なパターンや、3mm幅の細かな巻き伏せ本縫い、緻密な運針など、高級ドレスシャツに見られるような丁寧な仕立てが美しいベーシックなシャツです。
程よくゆとりのあるボックスシルエットに柔らかな襟とカフス、リラックス感がありながらも品のある佇まいが魅力です。
この端正なモデルに力強い2本針ミシンを走らせたモデルがSH01B ボックスレギュラー2本針シャツです。
ベースの形は同じですが、袖や脇線を太番手の綿糸を用いて2本針で仕上げています。
糸の調子を強くかけて縫い上げることで大胆なパッカリングが現れ、一枚で着た時にも確かな存在感が生まれます。

続いてワイドカラーの2型。
・左:SH04B ボックスNEWワイドカラーシャツ(WHITE)
・右:SH04B ボックスワイド3本針シャツ(WHITE)


同じワイドカラーの「SH04B」ですが、ガラリと印象が変わります。
SH04B ブロードボックスNEWワイドカラーシャツは、あえて台襟をなくし、襟幅が広く、先を丸く仕上げることで柔らかな印象に。
首周りや身幅もやや大きめに設定されており、リラックス感が漂います。
対照的に、圧倒的な個性を放つのがSH04B ボックスワイド3本針シャツ。
太番手の糸を用いた3本針チェーンステッチにより、シャツ全体が波打つほどの強烈なパッカリングを生み出しています。

2本針も同様に、3本針も洗いを繰り返すことでパッカリングがより強調され、ブロード生地とのコントラストが際立ってゆきます。
一枚でも着用しても非常に存在感のあるシャツです。
そしてスタンドカラーの3型。
・右:SH06B ブロードボックススタンドカラーシャツ(WHITE)
・真ん中:SH06B ボックススタンド2本針シャツ(WHITE)
・左:SH06S 長丈2本針酢タンドカラーシャツ(WHITE)

首回りがすっきりとしたスタンドカラーでは「縫製」と「着丈」の違いで3つのデザインがあります。
最もシンプルなSH06B ブロードボックススタンドカラーシャツは、クリーンで知的な雰囲気。
ボックスレギュラーカラーシャツと同じくリラックス感のあるボックスシルエット。
2枚袖のパターンはそのままに、袖口の開きはいってこい始末にしたカジュアルなディテール。
細かなピッチの縫製で端正な佇まいで綺麗なジャケットのインナーとしてもまとまりのいいバランスです。

この形をベースに2本針ミシンを走らせたのがSH06B ボックススタンド2本針シャツです。
ステッチの縮みによって身頃に空気を孕んだようなふんわりとした丸みが生まれるため、サイズバランスは同じでも異なった表情を見せています。


この2型と同じスタンドカラーでも、シルエットやパターンに変化を加えたのがSH06B 長丈2本針スタンドカラーシャツです。
身幅、肩幅をコンパクトにしつつ着丈を思い切り長く設定し、前立て裾が重なるクラシカルな印象のデザイン。

プラケットフロントの前立てや2本針で縫い付けられたポケット、裾脇の「空環止め」などクラシカルな佇まいにギャップを感じさせるようなデザインを取り入れています。
歩くたびに裾が揺れる躍動感があり、羽織りとしても活躍します。
袖の仕様や背面のタックの入れ方も異なり、細かなところにまでそれぞれの個性を感じられます。

「白いコットンブロードのシャツ」という、最もシンプルで制約の多いルールの中で、これだけ表情の違う作品を作り出せるSans limiteの探求心には、改めて脱帽してしまいます。
白シャツなんて何枚あってもいい。
ちょっとした違いが、また新しい発見を連れてきてくれます。
それぞれのモデルが持つ表情やシルエットの違いを、袖を通してじっくりと味わってみてください。
・Sans limiteの作品ページはこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


