革に合わせた仕上げ
PETROSOLAUMの作り込みは、革選びや製法だけにとどまりません。
先日のBlogでも少し触れましたが、アッパーに使用する革の表情や風合いに合わせて、コバやアウトソールの仕上げまでも変えています。
靴として形になった時、どのように見えるのか。
革の質感と、底周りの仕上げがどう響き合うのか。
今回は店頭に並ぶ作品の中から、Hidden Derby Low、H Chukker、Stone Derbyを例にご紹介いたします。
まずはこちらから。
・Hidden Derby Low(BLACK)



こちらの作品では、PETROSOLAUMが姫路の老舗タンナー「新喜皮革」と共同で開発したコードヴァンバットを使用しています。
きめ細やかで美しい光沢を持つコードヴァン層から、繊維の粗いバット層とが隣り合った部分のみを使用した、コードヴァンの中でもさらに希少で贅沢な革です。
その表情の移ろいが、この靴の大きな魅力です。


ヒールから羽根へと伸びるパーツには、コードヴァン層からバット層へ移ろっていく部分を配置。
外側からはきめ細やかな質感が目に入り、ヒールを境に荒々しいバット層へと切り替わります。
正面から見ると、粗野な表情と繊細な光沢が共存し、素材の持つコントラストがはっきりと現れています。

コードヴァン特有のきめ細やかさや光沢に合わせるように、コバも丁寧に磨き上げられています。
サイドの平コバから丸コバへと変わってゆく部分は、陰影が際立つことでより立体的な見え方に。



アウトソールも同様に、非常に美しく磨き込まれています。
あまりにツヤツヤな仕上がりに、反射で外の景色が映り込むほど。



続いてこちら。
・H Chukker(BLACK)



こちらの作品では、アフリカ南部のサバンナや森林地帯に生息する大型の草食動物、クードゥーの革を使用しています。
この革最大の特徴は、生々しい傷跡。
厳しい自然を生き抜く中でついた無数の傷がそのまま現れた、非常に野生的な表情を持つ革です。



整った美しさとは異なる、力強い質感。
NATURALの方が傷跡が分かりやすいですね。
その革の雰囲気に合わせるように、こちらの作品ではコバを削りっぱなしにしています。
磨き上げて整えるのではなく、あえて荒さを残すことで、アッパーとの一体感が生まれています。



そして、アウトソールもあえて磨き上げずラフな質感を残した仕上げに。



最後はこちら。
・Stone Derby(NATURAL)



こちらの作品では、鹿革のスウェードを使用しています。
松や藁を燃やした際に立ち上る煙に含まれるヤニを革に付着させ、じっくりと色を移してゆく「燻染め」と呼ばれる伝統的な染色技法を施した革です。
仕上げには製品洗いも施されており、色ムラや歪みが現れています。



均一ではない表情。
クタッとヤれた雰囲気が、この靴の魅力でもあります。
こちらもアッパーの革の風合いに合わせて、コバは削りっぱなし。
製品洗いによって毛羽感が強く現れており、H Chukkerとはまた違った荒々しさがあります。

アウトソールも磨き上げず、ラフな雰囲気を残した仕上げ。



仕立てが綺麗な靴や、丁寧に作られた靴は探せばあると思います。
しかし、革の表情に合わせて、コバやアウトソールの仕上げまで変えている靴は、なかなか見かけません。
ここまで作り込まれていながら、既製靴として成立しているところに、あらためてPETROSOLAUMらしさを感じます。
展示受注会では、靴として形になっているモデルサンプルも多数ご用意いたします。
革の表情だけでなく、コバやアウトソールといった細かな部分にも目を向けながら、じっくりとご覧いただけますと嬉しく思います。
【PETROSOLAUM展示受注会】
【会期】5月2日(土)〜5月5日(火)
【会場】Solitary 〒920-2113 石川県白山市八幡町ヌ26-12 070-9187-4449
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
執筆者 中村鴻大


