【SOLNORD】なぜ国産羊の毛は出回らないのか?
北海道産の羊毛を、北海道で手作業で紡ぎ、北海道で手編みするという極めて稀有な生産プロセスを経ているニット専業ブランド「SOLNORD/ソルノール」
ここで少し違和感を覚える「北海道産の羊毛」というワード。
たしかに、北海道といえばジンギスカン。広い大地と冷涼な気候は羊の育成に最適なのでしょう。

しかしこれまで「北海道産の羊毛」という言葉は聞いたことが無く、ウールといえばオーストラリアやニュージーランド、シェットランドなど、海外産で当然と疑問すら抱いておりませんでした。
それもそのはず、日本国産のウールが市場にほとんど出回っていないからです。
海外では刈り取られたウール原毛は大規模な洗毛工場にて強い薬品と高温を用いて汚れやゴミを処理されるのですが、日本の洗毛工場は水質汚染や公害防止の観点から全て廃止された為、結果的に産業として発展しなかったのです。
SOLNORDにおいては、もちろんそれらの化炭処理(※)を行っていません。
※化炭処理……原毛を希硫酸に浸し、95℃〜120℃に加熱して植物性のゴミを炭化させ、その後アルカリ性液で中和する。効率良く夾雑物を取り除けるものの、その工程を経ることで羊毛を覆うラノリン、弾力、保温性が失われることが懸念点。
それでは原毛をどのように処理するのかというと、4時間つけ置きし、お湯を張り替えまたつけ置きするという工程を3回繰り返し、 目視と触感で汚れを確認し手で除去し、その後2回の濯ぎと脱水に16時間を費やし、天日干しするという清々しいまでに原始的な手法を選択しています。



非常に非効率である代わりに、羊の原毛を覆うラノリンをある程度残し、原毛の良さを最大限に引き立たせることが出来るのが他にはない大きな強みです。
これらの洗毛が終われば「さあ糸にしよう」という単純なものではなく、自然の中を走り回って生活している羊の毛には藁や草の種、細かな植物片などの夾雑物がまだまだ絡まっています。
それらをデザイナー自らの手で、羊の毛の塊をほぐしながら一つ一つ取り除いていきます。(数百kgもの羊毛を…)
まさに気の遠くなるような果てしない工程を経ることでやっと滑らかで弾力のある高品質なウール糸となる訳ですが、これこそが日本国内で羊毛産業が発達しなかった要因なのです。
羊毛の糸を作るだけで莫大なコストを掛けていては海外産のウール製品とは勝負にならない上に、そもそもビジネスになり得る程の生産量も確保出来ない。
このボトルネックをデザイナーのマンパワーによって無理やり解決しており、そういった意味では「体育会系ブランド」といっても過言ではないのがSOLNORDです。
そうして綺麗に処理された原毛を旧式機械紡績か手紡績か、その違いを見比べて選んでオーダーすることが出来るのもSOLNORDならでは。



個人的には手紡績、手編みが組み合わさることによる強い凹凸感やゆらぎが大好物であり、皆様にもおすすめしたいところではありますが、機械紡績による密な質感にもまた良さがあります。
しかし手紡績糸の受注が可能なのは、手紡績を担う北海道在住の職人が活動出来る日までですので、今後手に入らない可能性があるとなれば是が非でも今のうちにオーダーしておきたいところです。
糸からオーダー出来るという、他ではあり得ないような楽しみ方のある今受注会。
あれこれ見比べて、奥深いニットの世界を一緒にお愉しみいただけましたら幸いです。
【SOLNORD受注会】
・会期
11月6日(金)〜8日(日)
全日デザイナーの石谷氏が在店いたします。
8日はSaltyを閉めて齊藤も参戦いたします。
・会場
Solitary
〒920-2113
石川県白山市八幡町ヌ26-12
070-9187-4449
〒920-2113
石川県白山市八幡町ヌ26-12
070-9187-4449
※洗毛、解毛、夾雑物除去、紡績、編みなどの全ての工程が手作業によって行われるSOLNORDの製作工程の一部を以下よりご覧いただけます。いかに過酷ですさまじい労力の末に完成した作品であるのかを実感します。


