ありそうでなかったオックスフォードシャツ
Sans limiteの2本針シャツについては、このブログでもこれまで何度となくご紹介してきましたが、生地が変わって届くたびに、また2本針の良さについて書きたくなってしまいます。
今回届いたのは、コットン100%のオックスフォード生地を使用した2本針シャツ。








定番のブロードとはまた違った迫力があり、改めてこの2本針というデザインは本当に良いなと思わされました。
Sans limiteの2本針シャツは、肩や袖、脇線などを太めの綿糸を用い、強い糸調子で縫い上げ、さらに製品で洗いをかけることで、縫製部分をぎゅっと縮ませて生まれるシワやパッカリングを意匠としたデザインです。



本来ならきれいに収めようとするはずの縫い目を、むしろこれでもかというほどボコボコと浮かび上がらせる。
無地のレギュラーカラーシャツという極めてベーシックな形でありながら、一枚で着た時には明らかに普通のシャツとは違う存在感があります。
これまでも定番としてコットンブロード生地の2本針シャツが展開されていますが、今回のオックスフォードの生地はその特徴がさらに強く現れています。
ブロードにも十分すぎるほどパッカリングは出ていますが、オックスフォードは生地に少し厚みがある分、縫い縮みによって生まれる膨らみもひと回り大きい。
肩やアームホール、前立て、脇線など、ステッチが走る部分がぷっくりと盛り上がり、その周囲には大きなシワが走っています。


見比べてみるとオックスフォード生地の方がパッカリングのぷっくりと盛り上がる感じがわかりやすいと思います。
オックスフォードシャツと聞くと、真っ先にボタンダウンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ボタンダウンカラーはポロ競技をルーツに持ち、その後アメリカントラディショナルを象徴するディテールのひとつとなりました。
日本でもアイビーやプレッピーといったスタイルを通して広く親しまれ、オックスフォード生地とボタンダウンカラーの組み合わせは、今ではシャツの定番としてあまりにも馴染み深いものになっています。
だからこそ、オックスフォード生地のレギュラーカラーを探してみると、これが意外と多くありません。
私自身ずっと欲しいと思っていたので、展示会でこのシャツを見た時には「やっと見つけた」と思いました。
しかもSans limiteの2本針で。
この作品に出会ったときはかなりテンションが上がりました。
ボタンダウンではなくヘムステッチの無いレギュラーカラーにすることで、オックスフォード特有のカジュアルな雰囲気は残しながら、少しすっきりと洗練された印象に。

そこへSans limiteならではの2枚袖のパターンや、縫い目に沿って激しく現れるシワとパッカリングが加わることで、いわゆるオックスフォードシャツとはまったく違う姿に仕上がっています。
カラーは定番のWHITEと落ち着きのあるGREY。

ジャケットやブルゾンの中に着るのはもちろんですが、ようやくシャツ一枚で出掛けるのが心地良い時期になってきた今なら、やはり一枚で着ていただきたい。
無地で、レギュラーカラーで、形だけを見ればごくシンプル。それでも一枚でこれだけ見栄えがするシャツは、そう多くありません。
何度も着て、洗って、さらにシワを刻んでいく。オックスフォードならそれを気にせずガシガシ繰り返せますし、このシャツに関してはむしろそのくらい着込んだ姿の方が格好良いだろうなと思います。
2本針の迫力をさらに引き立ててくれるオックスフォード生地。
まさに鬼に金棒です。
サイズもジャストで着ればすっきりと、少し大きめを選べばたっぷりとした身幅や袖の丸みが際立ちます。
合わせるものや着方を決めつけず、それぞれ好きなバランスで着ていただければと思います。
※Sans limiteの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


