ゆったりとすっきりと
ドカドカと届く新作の波に押されて、入荷から少し時間が経ってしまいましたが、ようやくAquellos Ojos Verdesのご紹介まで辿り着けました。
無地だからこそ際立つ素材の風合い、美しい仕立て、エレガントな佇まい。ひっそりと店頭へ並べ、眺めているうちにますます惹きつけられた作品です。
・Silk Nep Back Satin Dress2(OYSTER WHITE)

・Silk Nep Back Satin Dress2(EVER GREEN)

今作では、経糸に50デニールのキュプラ糸へ2000回転を超える撚りをかけた超強撚糸を、緯糸にはシルクネップ糸とコットンレーヨンの混紡糸を交互に配して織り上げたバックサテン生地をしています。
シルク糸のネップや節、ウール糸による細かなシボが浮かび上がり、無地でありながら非常に存在感のある生地です。


見た目の印象では素朴さや無骨さを感じる生地ですが、薄手で肌触りはとても柔らか。とろんとした落ち感もあり、袖を通した時の気持ち良さも魅力です。
肩幅と身幅にゆとりを持たせながら、ウエストから裾へ向かってわずかに絞りを効かせ、襟をわずかに小ぶりにして従来のデザインを少しアップデートさせたという新型「Dress2」。
パッと見た印象はWindsor Wide Collar Shirtとほとんど同じですが、腰回りの広がり具合がやや狭くなったかなという感じがします。
着丈はタックインでもアウトでも着られるよう、少し長めに設定されています。スラックスと合わせて綺麗めな雰囲気で着るのはもちろん、デニムやチノパンと合わせたカジュアルなスタイリングでも幅広く着回せそうなバランスです。




バックヨークや袖山、袖先には細かなギャザーがたっぷりと寄せられています。
「ギャザーをたっぷり」と聞くと、もう少し甘さのある服を想像するかもしれませんが、Aquellos Ojos Verdesの作品では落ち着きのあるエレガントな雰囲気を強く漂わせています。
大きく開いた襟、ゆったりとしながらもすっきりと収まるシルエット、細部まで丁寧に仕立てられたつくり。そうした要素によって、ギャザーの柔らかな雰囲気を残しながらも、全体の印象はクラシカルで落ち着いた佇まい。
ゆったり、でも、すっきり。
このバランスがとてもいい。
たっぷりのギャザーを入れたことで、生地にはしっかりと分量がありますが、薄手で落ち感があるためシルエットは過度に膨らまず、ギャザーから生まれるドレープや陰影も無地の表面に豊かな表情をもたらしています。
また、Solitaryでは、全ての作品の袖付けをデザイナーによる手縫いでお願いしています。
身頃と袖を一度に縫い合わせるのではなく、袖を後から取り付け、縫い目の位置をずらしながら前振りに仕上げる手間のかかる仕立てです。手縫いならではの柔らかな着心地も大きな魅力です。


さらに、裾脇のガゼットや袖の剣ボロに施された閂止めも手縫いで仕上げられており、目立たない部分にまで手仕事が宿っています。


ここまでの画像でもご覧いただいた通り、カラーはOYSTER WHITEとEVER GREENの2色。
OYSTER WHITEはほんのり黄味がかった柔らかな色合いで、シャツそのもののシルエットや白シャツらしい合わせるものを選ばずスタイリングを幅広く楽しめます。
EVER GREENは節やネップ、細かなシボがよりはっきりと現れ、素材の風合いを存分に楽しめます。深みのある色合いも相まって、秋の装いに取り入れたくなるとてもいい色です。
シャツでは意外と見かけない色で、黒やグレー、ブラウンなど秋冬によく着る色とも相性が良さそうです。
無地だからこそ際立つ素材の表情。たっぷりとギャザーを入れながら甘くなり過ぎず、ゆったりと着られるのに見た目はすっきりとしている。
細かな部分まで手をかけて作られていますが、着てみるとそれを必要以上に意識させず気軽に袖を通せる。そんなところも気に入っています。
※Aquellos Ojos Verdesの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


