可愛らしさに品を添えて
ギンガムチェックという柄には、個人的に少し可愛らしいイメージを持っています。
細かな格子が規則正しく並び、シャツにするとカジュアルな雰囲気も強い。
ただ、このシャツを見た時には、そうした印象よりも「品がいいな」と感じました。
柄そのものはポップでカジュアルなギンガムチェック。しかし、袖を通した姿には子供っぽさがなく、むしろ落ち着いた大人っぽさがあります。
・SH01B THOMAS MASON Royal Ox Gingham レギュラーカラーシャツ(NAVY)



細かなネイビーとホワイトからなる格子柄の上に浮かぶ艶がとても綺麗で、私が抱いていたギンガムチェックのイメージとは少し違って見えました。
こちらのシャツに採用されているのは、英国老舗シャツ生地メーカーTHOMAS MASONのロイヤルオックスフォード生地。
オックスフォードらしいハリがありながらも硬さはなく、しなやか。非常に滑らかな質感で、ヌメりを感じるようなツルツルとしたタッチが特徴の上質な生地です。


ポップでカジュアルな柄なのに、どこか落ち着いて見える。ギンガムチェックの可愛らしさを消しているわけではなく、ロイヤルオックスフォードの美しい光沢や滑らかさによって、その印象が少し大人びて見えるように感じます。

そして、このシャツを大人びて見せている理由は生地だけではありません。
既製品ではほとんど見られない2枚袖のパターンを用い、縫製を見ると運針は非常に細かく、脇線には極細の巻き伏せ本縫いが施されています。
ドレスシャツやビスポークシャツを思わせるほど細やかな仕立ては、Sans limiteのシャツでは度々目にするものですが、改めて見るとやはり贅沢です。



少し可愛らしさのあるギンガムチェックと、緻密に仕立てられたシャツ。
一見すると方向の違う二つですが、この組み合わせによってギンガムチェックの見え方がぐっと変わっています。
柄が持つカジュアル感はしっかりと残っているのに、シャツ全体にはきちんとした品がある。ポップさを消してしまうのではなく、そのまま残しながら少し大人びた方向へ持っていく。このバランスが私はとても好きです。

実際に袖を通してみても、柄物らしい楽しさはありながら、賑やか過ぎる印象にはなりません。
生地の艶と、細部まで丁寧に仕立てられたシャツの端正な雰囲気があることで、ギンガムチェックを着ているというより、品の良いシャツを着ている感覚の方が強く残ります。
・サイズ1着用(169cm 77kg)



私自身、ギンガムチェックにはもう少し可愛らしい印象を持っていたので、このシャツを着た時の雰囲気は新鮮でした。
ギンガムチェックの楽しさはそのままに、少し背筋の伸びるような品の良さがある。
大人が着るギンガムチェックとして、このくらいのバランスがちょうどいいなと思います。
※Sans limiteの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大

