涼しいだけじゃない
夏の定番素材として親しまれている麻。
ただ、一口に麻と言っても、その中には亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)など様々な種類が存在します。
今回MITTANから届いた大麻ワイドパンツで使用されているのは、その名の通り大麻です。


大麻と聞くと、怪しげなイメージが真っ先に思い浮かんでしまうかもしれません。
しかし、日本人にとって大麻は古くから身近な素材でした。
縄文時代には土器に麻縄の模様が施され、衣服や漁網、弓の弦などにも利用されていたと言われています。
戦前までは日本各地で栽培されていましたが、戦後の規制によって流通量は大きく減少しました。
それでも大麻は私たちの暮らしから完全に姿を消したわけではありません。
神社で見かける注連縄(しめなわ)や鈴緒(すずお)、七味唐辛子に含まれる麻の実。
近年では健康食品として注目を集めるヘンプナッツやヘンプシードオイルなど、現在も私たちの暮らしの中に残り続けています。
そんな長い歴史を持つ大麻ですが、素材としても非常に優秀です。
優れた調湿性を備えており、汗をかいても湿気を溜め込みにくく、生地の内側を快適な状態に保ってくれます。
蒸し暑い季節でも肌に張り付きにくく、さらりとした着心地が続きます。
また、熱伝導率が低いため外気の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かいという特徴もあります。
さらに、抗菌性や消臭性にも優れており、汗をかく季節でも臭いによる不快感が少ない。
現代の高機能素材のような派手さはありませんが、長い年月をかけて生活の中で使われ続けてきた理由がよく分かる素材です。
MITTANの大麻ワイドパンツでは、そんな大麻100%の糸で織り上げた生地を使用しています。
触れた瞬間はひんやりとしていて、風が抜けるような軽さがあります。
比較的薄手ではありますが頼りなさはなく、ぷるんとした弾力と適度なハリを備えた心地良い生地です。
麻特有の素朴な表情を持ちながらも肌当たりは滑らかで、汗ばむ季節でも非常に快適。
新品時にはやや硬さのある質感ですが、着用と洗濯を重ねることで少しずつ繊維がほぐれ、柔らかな風合いへと変化していきます。
購入した時が完成ではなく、暮らしの中で育っていく。
そんな感覚も、この生地の魅力です。
ワイドパンツと言いつつもボリューム感は控えめ。全体的に程よくゆとりを持たせ、すとんと落ちていくストレートシルエットが特徴です。
レングスは長過ぎず短過ぎない絶妙なバランスに設定されているため、リラックス感はありながらも、決してルーズな印象にはなりません。
ウエストはゴムと紐によるイージー仕様ですが、ベルトループも備えています。
気軽に穿くことはもちろん、シャツをタックインしたり革靴を合わせたりと、きちんと整ったスタイルでも着られる汎用性の高いデザインです。

Solitaryでは黒、濃紺、黒赤、松煙、ベンガラ白、が揃いました。

日々の暮らしの中で気兼ねなく穿けること。
そして着るほどに風合いが増していくこと。
大麻という素材が持つ魅力を存分に味わっていただける作品です。
私もこよなく愛用する素材の一つです。
足を通せば、きっと病みつきになります。
執筆者 中村鴻大



