灰草
服はひとつの形になるまでに様々な工程を経て製作されています。
生地を用意し、染め、裁断、縫製され仕上がる。
多くの場合、それぞれの工程は分業され、別々の場所で進められていきます。
灰草では、それらの工程を全て自身のアトリエで製作している非常に稀有なブランドなのです。
その徹底ぶりは凄まじく、藍染めに使用する蓼藍を育てたり、柿渋染めに用いる柿の収穫までも自身で行っています。
当然のようにその素材から染液を作り出し、手作業で作品一つひとつを染め上げていきます。
作品によっては、生地を土に埋めたり、火で炙ったりと実験的な工程を踏みながら生み出されるものもあります。
工程のどこを切り取っても機械的な製品とは異なる、人の手の介在があり、生み出された作品からは独特の揺らぎや温もりが感じられます。
灰草の作品は、トレンドや季節性を強く意識したものではありません。
通年で着用でき、日常の中で使い続けられるような、あくまでも生活に寄り添う道具として作られています。
こうした手仕事ならではの揺らぎや、温度を感じさせる表情も、灰草の魅力のひとつであり、それを象徴したものがこちらのボタンです。

こちらももちろんデザイナーの手によって製作されています。
真鍮の板に穴をあけ、切り出し、ペンチで挟みながら金ヤスリで削り、歪ませる。
その後、グラインダーなどは使わず、すべて手作業で磨き上げられています。
シャツ一着分のボタンを作るだけでも、相当な手間と時間を要します。
一連の作業の様子が灰草のインスタグラムでご覧いただけますので、是非一度覗いてみてください。
そうして生まれたボタンには、一つひとつに個性が宿り、表情の違いが現れます。

ボタンはすべて抜かりなく根巻きが施され、丁寧に縫い付けられています。

作品のネームタグも、もちろん手刺繍。
目立つ部分ではありませんが、こうした細部にも手仕事が感じられます。

こうした工程を積み重ねて生まれた作品が、今回Solitaryに届いています。
今回入荷したのは、classic shirtのsepiaと墨、three tuck trousersのsepiaと墨の4点です。

・classic shirt(墨)
・classic shirt(sepia)
・three tuck trousers(墨)
・three tuck trousers(sepia)
ただ、classic shirt の墨については、ブログでご紹介する前にお選びいただき、既にお客様のもとへと渡っています。
生地は、大麻70%・綿30%の綾組織。

手作業で染めと洗いを繰り返すことで、自然なムラと独特のシワ感が現れ、強い存在感を纏っています。
大麻素材ならではの、ぷるんとした弾力のある触感も心地よく、季節を問わず着用できる生地です。
classic shirt は、当店では着丈を2.5cm短くオーダーしています。
一枚で着た際にも、全体がすっきりと収まるバランスに仕上げていただきました。

パンツも同じ生地を使用。

ドローコードの先端は真鍮を巻き付けて留められており、重厚な印象。


裾は3cm長くオーダーしており、そのままでも、ロールアップしても良いバランスに仕上げていただいています。

また、灰草では着用を重ねた作品の染め直しや修繕も行っております。
必要に応じて手を加えながら、時間をかけてじっくり向き合うことで、少しずつ表情を変え、身体や生活に馴染んでゆくものなのかもしれません。
そうした付き合い方が出来ることも灰草の作品ならではの魅力です。
なお、灰草の作品はブランドの意向により、ONLINE STOREでの掲載を控えさせていただいております。
言葉や写真では伝わりきらない魅力を、ぜひ店頭で実際に味わっていただけたらと思います。
執筆者 中村鴻大


