色の記憶を纏う
Aquellos Ojos Verdesの今シーズンのテーマは「カラーパレット」。
デザイナーが旅をした世界各地で見つけた色や人物から受けたインスピレーションを落とし込んだシャツが届きました。
鮮やかさや深みだけでなく、どこか記憶に残るような色の重なり。
単なる配色ではなく、空気や時間までも表現されているように感じます。

同じ形のシャツですが、それぞれ異なる表情を持つ非常に個性的な生地を使用しています。
こちらはFlower Jacquard生地。


メキシコの女性画家「フリーダ・カーロ」が描いた自画像や独特なタッチ、色彩から着想を得ており、3種類の糸を用いて織り上げられています。
それぞれが異なる色のキュプラとコットン、レーヨンが重なり合うことで、柔らかく奥行きのある複雑な色合いに仕上がっております。
元はインテリア用として使われていた紋紙を用いたジャカード生地は、主張しすぎない花柄を描きながらも、静かな存在感を放っています。
もうひとつは、See-through Boil生地。


100番双糸を限界まで強撚し、ガス焼きと特殊加工を施した綿100%のボイル生地を使用しています。
加工により綿とは思えないほど滑らかで軽やかな質感に仕上げられています。
薄手でありながら強撚糸特有のジャリ感と適度なハリがあり、ほのかな光沢も感じられます。
黒でありながら重さを感じさせず、涼しげな印象で着用できるのも魅力です。

・Flower Jacquard Ethnic crew neck shirt(MOSS GREEN)


・See-through Boil Ethnic crew neck shirt(BLACK)


こちらのシャツは、デザイナーが過去に愛用していたという、透け感のある刺繍入りのメキシカンシャツをベースに生み出されたデザインとのこと。
襟はあえて無くしたことで、首元に抜け感を演出。着用時に風通しの良さや軽やかな印象に見えるような設計。
襟を無くした端は、肌当たりを考慮し、同じ生地で丁寧にパイピング処理がされています。

イカ胸を思わせるように前立てに沿って縫い付けられたはしごレース。
その存在を引き立てるために、襟や装飾を削ぎ落とし、全体は簡素な構成にまとめられています。




簡素とはいえ、袖付けは手縫いで前振袖、ガゼットの手縫い閂止め、ボタンの取り付けに至るまで、細部には丁寧な手仕事が積み重ねられています。
いつもはガゼットに手縫されているアイコニックな「B」がこちらのシャツではさりげないアクセントとして裾後ろに。





また、ボタンも生地に合わせて変えられており、Flower Jaqured生地では前立てに独特な色ムラと光沢が特徴のアワビ貝ボタン、袖には陶器のように見える加工が施された木製ボタンが使用されています。

See-through Boil生地では前立て、袖共に深みのある黒蝶染めボタンを使用し、全て鳥足掛けで丁寧に取り付けられています。

柔らかく奥行きのある色と柄を纏う一枚と、視覚的にも軽やかな透け感のある黒。
デザイナーが感じた色や記憶、空気感がそれぞれに表情として宿ったシャツです。
生地による印象の違いを楽しんでいただければと思います。
執筆者 中村鴻大


