見覚えのある新しい形
展示会で対面した、PETROSOLAUMの新作。初めて見るモデルでありながら、どこか見覚えのあるディテールに目を奪われました。
・H Center Zip-Horse reverse(BLACK)


正面に真っ直ぐ伸びる一本のジップ、高さのあるシャフト。そして何より気になったのが、ジップの始点を囲むようにぐっと盛り上がった革の形です。

私が愛用しているH Chukkerにも見られるこの特徴的なディテール。
・H Chukker(BLACK)


アッパーとタンが縫い付けられることで一体化し、シューレースを結ぶことで革が蛇腹のように折り畳まれ、ぐっと盛り上がる非常に印象的なデザインです。
そして今回入荷した新作H Center Zipには、この特徴的な構造が受け継がれていました。

H Chukkerではシューレースの左右に現れていた革の隆起が、H Center Zipでは一本のジップを挟むように控えめに浮かび上がります。同じ構造でも、高さのあるシャフトとセンタージップによって、印象がガラリと変化しています。

シャフトから足首周りにかけてはややタイト目に仕上げられており、よくあるジップブーツに見られるような革の余りがほとんど無く、足にピッタリ沿うシャープなシルエットが特徴です。


H Chukkerは40で着用していますが、こちらの作品は40Hでピッタリでした。
靴下にもよりますが、少し大きめでも良さそうなサイズ感です。
アッパーには馬革の裏面を表として用いたホースリバースを使用。スエードらしい毛羽に、シボ感が重なっており、無骨で少し荒々しさのある表情を見せています。


見た目には無骨さがありますが、質感自体は非常に柔らかくしなやか。
タイトなサイズ感でも硬さや締め付けられるような感覚は無く、履き始めから既に足に馴染んでいるような履き心地を味わえます。
ジップを下ろすと折り畳まれていた革が左右へ大きく開き、履き口が広く開放されるため、高さのあるブーツでありながら足入れは非常にスムーズ。


足を通した後はジップを引き上げるだけで、革が包み込んでくれます。H Chukkerではシューレースを締めることで生まれていたフィット感を、H Center Zipではジップを引き上げるだけで得られる。着脱のしやすさとしっかりとしたフィット感を両立しているのも、このモデルの魅力です。
木型にはPETROSOLAUMのハイエンドラインで用いられる03lastを採用。当店ではもちろんハンドソーンウェルト製法でオーダーしております。
手吊り込みや美しい流線を描くフィドルバック、ウッドペイスなど、特徴的なデザインの裏側には伝統的な革靴作りの技術が詰め込まれています。



シューレースからセンタージップへ、くるぶし丈から高さのあるシャフトへ。H Chukkerを彷彿させる構造を引き継ぎながらブーツへと生まれ変わったH Center Zip。
見覚えがあるのに、新しい。
私が展示会で受けた印象を、H Chukkerと見比べながら感じていただければと思います。
※PETROSOLAUMの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


