ストライプが踊り出す
昨日のブログでも触れたオックスフォードシャツと同じように、ストライプ柄のシャツも昔から変わらず親しまれてきた普遍的な存在。特別珍しいものでもなく、シャツが好きな方であれば一度は袖を通したことがあるのではないでしょうか。
ストライプシャツも本当にさまざまですが、THOMAS MASONのような上質な生地を使用したものとなれば、既製品でもオーダーでも、ドレスシャツらしいきちんとした仕立てのものを目にすることが多いです。
もちろん、上質な生地を丁寧に仕立てたシャツにも魅力があります。
ただ、個人的にはそれだけでは少しつまらない。
私が惹かれるのは、生地の良さそのものだけではなく、その生地をどう扱い、どんなシャツに仕立てるのかという部分です。
上質な生地だからといって、その良さを綺麗に見せるだけで終わらせない。Sans limiteらしい個性が存分に表れたシャツをご紹介いたします。
・SH01B THOMAS MASON ボックスレギュラー2本針シャツ(BLACK STRIPE)


上質な生地を使ったシャツを探せば、世の中にはいくらでも見つかります。そんな中でこの作品を見ていると、Sans limiteの2本針シャツが放つ圧倒的な存在感は、やっぱり他にはないものだと改めて思います。
今作で使用されているのは、英国の老舗高級シャツ生地メーカーであるTHOMAS MASONのコットンブロード生地。

滑らかな肌触りと程よいハリがあり、ほのかに光沢感のある品のいい生地です。
BLACKとWHITEの細かなストライプが規則正しく走り、何も手を加えず綺麗に仕立てても十分に魅力があります。

そんな生地であってもお構いなしに、Sans limiteは太い糸で2本針のステッチを走らせます。
そして製品洗いによって縫い目が縮み上がり、その周囲にはボコボコと激しいシワやパッカリングが浮かび上がる。柄のある生地では、無地に比べてステッチの存在感が隠れてしまいそうにも思えます。
けれど、このシャツはむしろ逆です。
ストライプが入っていることで、2本針によって生地がどれほど大きく動いているのかが、より鮮明に見えてきます。



特に個人的に好きなのが、袖のはぎ部分です。
2本針のステッチに挟まれた生地が波打ち、それに合わせて真っ直ぐに走っていたストライプまでぐねぐねとうねりだす。
まるで生地そのものが踊り出したように。
無地の2本針シャツでも、激しいパッカリングは十分に迫力があります。ただ、ストライプになると、その迫力の正体がもっと分かりやすい。真っ直ぐだった線がこれだけ乱れるほど、生地が縮み、膨らみ、動いていることが伝わってきます。
一見すれば、シンプルなストライプシャツ。
しかし、袖や脇へ目を向ければ、ただシンプルなだけではない。整然と並んでいたはずの線が好き勝手にうねり、踊り、主張する。
上質な生地を綺麗に仕立てて終わるのではなく、その生地へ遠慮なく手を加える。
それでも雑に見えることはなく、むしろTHOMAS MASONならではの滑らかさや光沢が残っているからこそ、この激しい縫製との組み合わせが面白い。
・サイズ1着用(169cm 77kg)





そして、ストライプの配色がBLACKとWHITEというところも気に入っています。
BLUEとWHITEであれば、より馴染み深いストライプシャツの姿を思い浮かべますが、BLACKになることで全体の印象はぐっと引き締まり、柄そのものにも強さが生まれる。
そこへ2本針によるシワやパッカリングが加わることで、シンプルなストライプシャツでありながら、しっかりと個性が感じられます。
良い生地を使っているというだけでは終わらない。
Sans limiteだからこそ、この生地でこのシャツを作る意味がある。
この作品を眺めていると、そんなことを改めて感じます。

※Sans limiteの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


