白ごはんや味噌汁のような服
何度着ても飽きない服とは何だろう。
服に限らず、長く好きでいられるものには共通点があるように思います。
一瞬で強く惹きつけるものもあれば、時間をかけて少しずつ好きになるものもある。
服も同じです。
新鮮なデザインや目を引く色使いに心が動くこともあります。
料理で言えば、その季節だけの限定メニューのようなものです。
その時にしか味わえない魅力がありますし、新しい発見や高揚感もあります。
そうした楽しさは服の大きな魅力のひとつです。
ただ、その一方で白ごはんや味噌汁のような存在にも惹かれます。
毎日食べても飽きない。
派手ではないけれど、気付けば何度も手を伸ばしている。季節やトレンドに縛られない服には、そんな魅力があるように感じます。
それは何年後に見ても古く感じず、着る理由がなくならない服です。
そんなことを考えていると、自然と思い浮かぶのがSans limiteのシャツです。
一目でSans limiteとわかるような2本針シャツや3本針シャツ。最もベーシックな位置付けのブロードボックスレギュラーカラーシャツ。

・SH01B ブロードボックスレギュラーカラーシャツ(WHITE)

印象的なパターンや絶妙なバランスのボックスシルエット、袖や脇線に現れるパッカリングは、Sans limiteのシャツを語る上で欠かせない特徴です。
ただ、その特徴は料理で言うところの塩や胡椒に近い気がします。
料理の主役が素材であるように、主役はあくまで白シャツそのものであり、Sans limiteらしい意匠はその魅力を引き立てるための味付けです。
塩や胡椒が効いているから美味しいのではなく、素材そのものが良いからこそ、そのひと手間が活きる。Sans limiteのシャツにも通じる部分があります。



袖のパターンやパッカリング、シルエットは確かに個性的です。
けれど、それらが前に出過ぎることはありません。
白シャツという普遍的な存在を土台にしているからこそ、一目でそれとわかる個性がありながらも飽きが来ず、何度袖を通しても良いと感じるのでしょう。

服を好きでいると、どうしても新しいものに目が向きます。
それは決して悪いことではありません。
むしろ新しい価値観や発見に触れることは、服を楽しむ上で欠かせないことだと思います。
それでも時々、自分はどんな服に惹かれるのだろうと考えることがあります。
その答えのひとつが、こうした服なのだと思います。
目新しさだけではなく、永く付き合うことを想像できる服。
個性を持ちながらも、それが普遍的な魅力を損なわない服。
何度着ても飽きない服の魅力は、そんな絶妙なバランスの上に成り立っているのだと思います。
執筆者 中村鴻大



