穿いて感じる、絹の気配
亜麻苧麻ワイドパンツと、亜麻苧麻絹ワイドパンツ。作品名を並べるとよく似た印象を持つかもしれませんが、絹が加わることで生地の風合いや穿き心地は大きく変化しています。

私も愛用している亜麻苧麻ワイドパンツは、亜麻と苧麻の混紡糸を高密度に織り上げた生地を使用しています。
・亜麻苧麻ワイドパンツ(墨黒)(2年ほど着用の私物)


ダック生地や帆布を彷彿とさせる、厚みのあるがっしりとした質感が特徴。麻素材らしいざらりとした肌触りと、ぶるんとした強い弾力があり、気兼ねなくガシガシと穿き込めるタフな生地です。
着用と洗いを重ねることで少しずつ柔らかくなり、毛羽立ちやシワを蓄えながら、デニムのように育ってゆきます。
亜麻苧麻絹ワイドパンツでは、経糸に亜麻と苧麻の混紡糸、緯糸にシルク糸を打ち込んでいます。
糸の節やネップ、細かな毛羽立ちが表面に現れた、粗野で力強い風合い。しっかりとした厚みと弾力も備えていますが、手で触れてみると、亜麻苧麻生地とは異なる滑らかさが伝わってきます。
絹と聞いて思い浮かべる華やかな光沢ではなく、麻の素朴な表情や力強さを残したまま、硬さを和らげています。
触れた時の質感の違いは、脚を通すことでよりはっきりと感じられました。
・サイズ2着用(169cm 77kg)




亜麻苧麻絹ワイドパンツにも程よい弾力はありますが、シルクのしなやかさが加わることで生地が柔らかく落ち、自然なドレープが現れます。
歩いたときには裾や腿周りが滑らかに揺れ、生地の分量がありながらも動きは軽やか。手で触れたとき以上に柔らかな肌触りを感じられ、ざらつきのある麻生地が苦手な方にも穿きやすい質感です。
太すぎず細すぎない中太のワイドシルエットもこのパンツの魅力です。
腰まわりや腿には適度なゆとりを持たせ、裾まですとんと落ちる程よい太さ。細身のカットソーやシャツにも、身幅や着丈にゆとりのあるトップスにも合わせやすい汎用性の高いデザインです。
ヒップに施された補強も、亜麻苧麻ワイドパンツと異なるポイントのひとつです。

生地が擦れやすい部分の耐久性を高めるための実用的な仕様ですが、大きく取られた切り替えが、シンプルなデザインの後ろ姿にさりげないアクセントを加えています。
亜麻と苧麻が持つ力強い表情を残しながら、シルクによって滑らかな肌触りと美しい落ち感を加えた亜麻苧麻絹ワイドパンツ。
見た目には粗野で力強く、穿くと柔らかく滑らか。
シルクによる質感の変化を是非脚を通して味わってみてください。
※MITTANの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


