革靴なのか、サンダルなのか
革靴のようにも見えれば、サンダルのようにも見える。
PETROSOLAUMのCage Sandalには、どちらか一方には収まらない独特な違和感があります。
・Cage Sandals(Horse Membrane-CAMEL)

八つ目編みによって足元が覗く姿には、サンダルらしい軽やかさと通気性の良さがありながら、わずかに高さを持たせたヒールと踵を支えるストラップによって、革靴に近いホールド感と歩きやすさも備えています。
実際に履いてみると、その独特な違和感がよりはっきりと伝わってきます。



この作品の象徴となっているのが、幾何学的な編み目によって甲を覆うアッパーです。
大分県の別府竹細工に見られる竹籠編みから着想を得て、その構造を細く裁断した革で表現しています。

竹細工ならではの規則正しく整った美しい編みを、革靴づくりの技術によって履物へと置き換えているところに、PETROSOLAUMらしい独創的な発想と手仕事が感じられます。
革を八つ目状に編み上げたアッパーは、隙間から素肌が覗く涼やかな姿でありながら、編み目を細かく詰めることで透けすぎず、甲をしっかりと覆う重厚な見た目に仕上がっています。

パッと見てまず目に入るのは八角形が連なる編み込みの造形ですが、足を通してみると編み目だけではなくつま先から甲へと続く立体的なフォルムや、わずかに高さのあるヒールにも目が向きます。

一般的なサンダルのように薄く平らなソールではなく、ヒールにはわずかに高さを持たせており、アッパーも途中で途切れることなくヒールまで伸びてゆくため、革靴に近い佇まいを生んでいます。

一方で、編み目の隙間や踵から素肌が見えることで、サンダルらしい軽やかな印象に。
ソックスの色で変化をつけて楽しめるのも魅力です。

革靴の形を思わせながら、見た目には風が抜けていく涼やかさがある。その相反する姿が、Cage Sandalならではの違和感を生んでいます。
そして、履き心地にも革靴とサンダルの両方の特徴が表れています。
八つ目編みのアッパーが甲を広く覆い、踵のストラップが足を支えるため、歩いた際にも足が浮きにくく、一般的なサンダルとは異なる安定感があります。

ストラップには三つのホールが設けられており、素足とソックスを使い分ける時や、革が柔らかくなり伸びてきてもフィット感を調節できます。
インソールにはクッションが入れられ、履き心地も非常に良い。サンダルらしい開放感を味わいながら、革靴に近い感覚でしっかりと歩けるところも、この作品の大きな魅力です。

明るい色合いは、編み目に現れる陰影を映し出し、奥行きのある表情を見せてくれます。
履き込むことで革が柔らかくなり、色艶やシワが加われば、八つ目編みの立体感もさらに深まっていくでしょう。
革の変化を楽しめるという革靴の魅力も、開放的なサンダルの形の中にしっかりと残されています。
サンダルらしく涼やかでありながら、革靴のように足元を支え、装いの中でも確かな存在感を見せるCage Sandals。
革靴なのか、サンダルなのか。
その境界を曖昧にする独特な違和感を、足を通すことで体感してみてください。
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執筆者 中村鴻大


