2つのsepia
先日のBlogでちらりとご紹介した灰草のClassic Shirt。今回は、その中のsepiaと現在店頭に並ぶsepia、色名は同じでも生地の異なる2枚のシャツの色味や風合いの違いを見比べていきます。

Classic Shirtは、小ぶりなレギュラーカラーにポケットなどの装飾を無くしたシンプルなデザインのシャツです。
過度なデザインや装飾がないため、生地と染めの風合いがストレートに伝わってきます。
当店では、灰草の空気感や世界観を崩さず、より日々の装いに取り入れやすいバランスを目指し、着丈を通常より2.5cm短くオーダーしています。
・Classic Shirt-cross slab cloth(sepia)
少し離れて眺めると、くすみを帯びた深い黄色に墨を重ねた渋い色合い、激しく刻まれたシワの迫力が目に飛び込んできます。
今シーズンのClassic Shirtに選んだ生地は、コットンをベースに、節や太さの異なるスラブ糸を経緯へ織り込んだ生地です。
染色や精練工程を施していない生機の状態から洗い込むことで、細かな凹凸と不規則なシワが生まれています。


縦横に走るスラブ糸や凹凸に沿って色が細かく途切れ、幾重にも重なることで、遠目には不規則な格子柄のようにも映ります。
比較的薄手で軽く、光にかざすとわずかに透けるほどの生地ですが、染めによって刻まれたシワとスラブ糸の陰影が、その軽さとは対照的な重厚さを感じさせます。
以前ご紹介したClassic Shirt(sepia)では、綿とラミーを高密度で織り上げた綾織生地を使用しています。
細かな綾目に、黄色と墨の濃淡が沿うように入り込み、手染めの際に揉み込まれたシワや染料の溜まりが不均一な陰影となって現れています。
・Classic Shirt-ramie cotton twill(sepia)

こうして並べてみると、ramie cotton twillでは、黄色と墨のムラが控えめな濃淡となって広がっています。
対してcross slub clothでは、縦横に走る糸の節や生地の凹凸に沿って細かな色の揺らぎが立体的に刻まれています。
墨が深く沈んだ部分、擦れたように黄色が淡く残る部分、糸の節を境に色が切り替わる部分、それらが複雑に連なることで色合いも濃く映り、より強い風合いを感じさせます。
同じsepiaといってもこれほどに違った仕上がりになるのかと驚かされました。
・左 cross slab cloth、右 ramie cotton twill

今回の作品では、染めや生地の風合いだけでなく、ボタンにもこれまでとは異なる変化が現れていました。


灰草を象徴する真鍮ボタンには僅かに錆や緑青が見られます。
手作業によって削り出された荒々しく乾いた質感に、錆や緑青による僅かな色の変化が加わり、激しい染めムラやシワを持つ生地と重なることで、より野趣に富んだ佇まいに仕上がっています。
写真に収められるのは、光を浴びた一瞬の姿に過ぎません。角度を変えて眺めると、沈んでいた墨が現れたり、その奥に隠れていた黄色が浮かび上がったりと、色合いは絶えず揺れ動くように感じられます。
是非店頭で2枚を並べ、生地によって変わるsepiaの表情をご覧くださいませ。
なお、灰草の作品はブランドの意向により、ONLINE STOREでの掲載を控えさせていただいております。
作品の詳細につきましては、お電話またはメールにてお気軽にお問い合わせくださいませ。
※灰草の作品についてのBlogはこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


