Solitaryとは
服を選ぶという行為は、自分が思っている以上に、その人自身を語ってしまうものだと感じています。
何に安心し、何に引っかかり、どんな距離感で世界と付き合っていたいのか。
意識していなくても、装いにはその人の判断や感覚が滲み出ます。
私は、服を「正解で選ぶ」ことに、どこか違和感を持ってきました。
流行っているから、みんなが着ているから、そうした理由だけで選ばれたものは時間が経つにつれて自分の中で居場所を失っていくように感じてしまうのです。
実際に、いつ買ったか、どこで買ったかも忘れてしまったものも沢山あります。
Solitaryは、そんな「選ぶ」という行為に、少しだけ時間をかけられる場所でありたいと考えています。
急がず、比べず、自分のペースで「これは自分にとってどうか」を考えられる場所。
服を通して、そうした時間や空間を共有したいと思っています。
Saltyのブログでも書いてあるのですが、ここで改めて、Solitaryというお店のコンセプトや私が感じている想いをお伝えできればと思います。
Solitaryとは、「孤独な」という意味を持つ言葉です。
同じく「孤独な」と訳されるネガティブな印象の「lonely」 とは異なり、
「自らの意思で独りを選び、その状態を肯定的に楽しんでいる」
というポジティブなニュアンスが含まれています。
誰にも強いられず、自分の意思で立つための選択です。
誰かと比べるためでも、多数派に属するためでもなく、自分の感覚を信じて、あえて距離を取るということ。
そして、このお店の名前には、トレンドや分かりやすい正解が集まる街の中心地からも物理的に離れ、自分の立ち位置を自分で決める、という姿勢も重ねられています。
白山比咩神社の近く、街の喧騒とは無縁の、自然豊かで静かな環境をあえて選んだのです。
金沢市の中心地から車で30分ほどの距離でありながら、訪れると日常から切り離されたような感覚になる。
Solitaryにとってこの環境は、単なる立地条件ではなく、お店の思想そのものだと感じています。
日常から少しだけ切り離された場所で、服と向き合う。
その距離感そのものが、選択の質を変えてくれると感じているからです。
Solitaryで提案しているものは、流行を追いかけるための服ではありません。
作り手の思想や背景がはっきりと感じられ、時間をかけて向き合うことで少しずつ自分のものになっていく作品です。
手仕事の跡が残るもの、一見すると癖があるもの、分かりやすさとは別のところに魅力があるもの。
効率や合理性だけでは測れない部分にこそ、ぬくもりや想いが宿っているのです。
Solitaryは、完成された答えを用意するお店ではなく、迷いながらでも選ぶことを肯定する場所です。
私はこの場所を「お店」という枠以上のものとして捉えながら働いています。
言葉を尽くし、背景を共有し、納得した上で選んでいただくこと。
服を売るというより、価値観や想いを手渡しているような感覚に近いかもしれません。
孤独を選ぶということは、孤立することではなく、自分の選択に責任を持つということだと思っています。
その選択が日々の装いを少しだけ豊かにし、同じ感覚を持つ方達の関係を深めるきっかけになればと思っています。
Solitaryが、自分の感覚を信じて選びたい人にとっての寄り処であり続けられたら嬉しいです。
執筆者 中村鴻大


