価値観が重なった時
先日は、ご来店くださったお客様との会話が思いのほか盛り上がり、気付けば随分と長い時間お話をしていました。
私はどちらかと言えば聞き役に回ることが多いです。
ご来店くださった方のお話を伺いながら、その方が何に惹かれ、どんな価値観を持っているのかを知ることが好きだからです。
ただ、先日は少し違いました。
服の話から始まった会話でしたが、途中から料理の話になり、また服の話に戻る。一見すると別の話題なのですが、不思議とそこには何の違和感もありませんでした。
お客様も料理がお好きで、時間のある休日には手間をかけて作ることもあるそうです。
私自身も料理が好きですし、以前は厨房で働いていたこともあります。今でも、休みの日にはじっくり時間をかけて料理を作ることがあります。
そして服を見る時は、デザインや着こなしよりも先に生地を見てしまうような生地好きです。
お話をしているうちに、お互いが興味を持っているものの根っこに近い部分が、とても似ているのではないかと感じました。
料理であれば完成した一皿だけではなく、使われている食材や調理の過程に興味が湧き、服であればデザインだけではなく、どんな素材が使われているのか、どのように作られているのかに惹かれます。
見えているものだけではなく、その背景にあるものを知りたくなるような感覚です。
その目に見えない大切な部分を分かち合えたことが嬉しくて、普段は聞き役に回ることが多い私も、この日は思わず話しすぎてしまうほど、心地良い空間でした。
ただ服を眺めるだけでなく、素材や生地、染めの表情、仕立ての良さや着心地の良さをじっくりと味わっていただき、作り手の想いまでも届いているようでとても嬉しい瞬間でした。
そして何より嬉しかったのは、作品だけではなく、この場所そのものを気に入っていただけたことです。
店内の雰囲気や周りを囲む景色。Solitaryへ来るまでの道中に広がる風景。
そういったものも含めて、丸ごと楽しんでくださったのです。



Solitaryは街の中心地に比べると、決してアクセスの良い場所にあるとは言えません。
それでも足を運んでくださり、作品だけでなく空間や景色まで含めて楽しんでいただける。そんな時間に立ち会えることは、本当に嬉しいことです。
共通の趣味を持ち、根底にある価値観まで同じように分かち合える。そんな素敵な方と出会えたことで、改めて人との出会いに恵まれているなと感じた一日でした。
執筆者 中村鴻大


