形を変えて、なお惹かれる
先日のBlogでは、シルクとウールという素材から想像する上品さとは少し異なる、乾いて枯れたような粗野な風合いに仕上げられた生地を使用したジャケットとパンツをご紹介いたしました。
今回はその続きとして、同じ生地のシリーズからシャツとコートをご紹介いたします。
まずは、KLASICAのお家芸とも言える緩やかなフォルムにロング丈のシルエットを持つスタンドカラーシャツ。
・Stand Collar Long Tail Shirts"SH-042"(CACAO NIB)

これまでご紹介してきたSH-039やSH-038とはまた異なる、たっぷりと生地の分量を持たせたロング丈のシャツです。
身幅を広く取り、背面には首元から深いインボックスプリーツを入れることで、後ろ身頃にも十分な分量を持たせています。さらに前後の着丈には大きく差をつけ、脇には深いスリットを入れたことで、長い裾が前後に分かれて大きく揺れ動くデザインです。



このボリュームのあるシルエットに使われているのが、先日のBlogでもご紹介したシルクウール素材の生地。
絹紡紬糸特有の節やネップ、強撚ウールによるハリのある質感。シルクを多く含みながらも上品な艶やかさはなく、糸そのものが持つ不均一さを残した、乾いた粗野な風合いが特徴です。

シャツ地としてはやや厚みがあり、適度なハリも備えているため、長い着丈も相まって、シャツでありながらコートのような存在感があります。
そして、この作品でもう一つ目を引くのが襟元です。

スタンドカラーには断ち切った生地を縫い付け、細かな糸の揺らぎをそのまま残した切りっぱなしのような仕上げに。
身頃や袖は丁寧に仕立てながら、首元にはあえて荒々しさを残すことで、生地の風合いと重なり退廃的なムードを生み出しています。

そして、同じ生地をクラシカルなロングコートへ仕立てたのがこちら。
・Cut Off Classic Straight Coat "1983"-SW(CACAO NIB)

テーラードカラーに胸ポケット、腰にはフラップポケットを備えたオーセンティックな佇まいでありながら、ウエストの絞りは利かせず肩から裾へ向かってふわりと広がってゆく、KLASICAらしいリラックスシルエット。

このコートを強く印象づけているのが袖口と裾の仕上げです。
どちらも綺麗に縫い込むのではなく、大胆に断ち切ったまま仕上げられており、袖口からは不規則に糸が垂れ、長い裾にもほつれた糸がそのまま残されています。



テーラードカラーやポケットといったクラシックな要素を残しながら、服の輪郭となる袖口と裾だけを荒々しく崩す。綺麗に仕立てる技術を持ちながら、あえて整え切らないところが面白い。
シャツ、コート、ジャケット、パンツとそれぞれ異なる形に仕立てられた今回のシリーズ。

決して派手さのある生地ではありませんが、じわじわと伝わってくる素材そのものの迫力があり、改めて見ても個人的にやっぱり好きな生地です。
見た目の魅力だけでなく、袖を通した時に感じる心地良さや生地が放つ空気感も本当に素晴らしいなと思います。
※KLASICAの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


