「今」しかできない装いを
「今の時期、何を着たら良いかわからない」「毎朝クローゼットの前で悩んでしまう」。
店頭でお客様とお話をしていると、この季節は決まってそんな声をお聞きします。
確かに、朝晩は少し肌寒さを感じる日もあれば、日中は汗ばむほど暖かい日もある。
日々の寒暖差が激しく、着るものが難しいと感じるのも無理はありません。
ですが、果たして本当にそうでしょうか?実は今の時期こそが、ファッションを自由気ままに楽しめる最高のシーズンなのではないかと思うのです。
冬の重厚なアウターはもう必要ありませんし、真夏のうだるような暑さに辟易してTシャツ一枚で過ごす日々もまだ少し先です。
穏やかで天気のいい日が続いている今だからこそ、軽やかな羽織りものから、長袖のシャツ、あるいは思い切って半袖のカットソーまで、あらゆるアイテムを選択肢に入れることができます。
言わば「何でも着られる時期」。
この贅沢で短い期間を、「着るものがない」と悩んでやり過ごしてしまうのは、あまりにも勿体無いことではないでしょうか。
当店のラインナップを見渡してみても、今の気候にちょうど良さそうな作品が揃っています。
まずおすすめしたいのがSans limiteのシャツです。

季節を問わず通年で着まわすことのできるシャツですが、私としては、気候が穏やかな今くらいの時期にこそ、アウターを羽織らず「シャツ1枚」で潔く着ていただきたいと強く感じています。
中でも定番の2本針や3本針シャツは、ステッチワークが生み出す、強烈なパッカリングとシワ感が魅力。
袖を通したときに、より立体的に現れる表情豊かな生地の波打ちは、単なる無地のシャツという枠を軽々と超えていきます。
・SH01B ボックスレギュラー2本針シャツ(WHITE)
・SH04B ボックスワイド3本針シャツ(NAVY)

デザイン自体は極めてシンプルでありながら、身に纏った瞬間に圧倒的な存在感を放ちます。
洗いざらしたことで縮み上がり丸みを帯びた独特のシルエットは、まさに主役として一枚で着てこそ真価を発揮します。
そして、朝晩の肌寒さや風よけとして重宝するのが、KLASICAのコートです。
・10B Classic Raglan Coat "PHILIA"-DB(BLACK)


こちらは強撚綿糸とラミー糸をドビー織機で織り上げた、非常に軽やかでハリのある生地を使用しています。

触れるとジャリ感のあるカリッとしたタッチで、肌離れが良く通気性にも優れているため、日中に気温が上がっても蒸れることなく快適に過ごせます。
さらに、裏地のない単仕立てであることで、まるでシャツを羽織るかのような軽快な着心地に仕上がっています。
カラーは深みのある黒ですが、生地の透け感とドライな質感が相まって、着用時にも視覚的にも重さを一切感じさせません。
軽快でありながらも、黒特有の重厚なムードをしっかりと纏うことができるコートです。
インナーにはサラリとした麻のシャツや、カットソーを合わせ、その上からバサッとラフに羽織るだけで、グッと奥行きのある洒落感が漂います。
「もう少し待てば本格的な夏が来るし…。」
そんな風に考えて、季節が通り過ぎるのをただ待つのはやめにしませんか。
ファッションには、その時、その気候でしか味わえない高揚感があります。
レイヤードを楽しみ、素材の個性をダイレクトに肌で感じることができる今の季節は、あっという間に過ぎ去ってしまいます。
一番ファッションを楽しめる「今」しかできない装いを、一緒に思い切り楽しみましょう。
執筆者 中村鴻大


