手仕事の痕跡
店内に並ぶ衣服たちの中で、灰草の作品はどこか異なる空気を纏っています。
決して派手な色柄なわけではないのですが、ただそこにあるだけで視線を奪われてしまうような、圧倒的な存在感を放っています。
これまでのBlogでは簡潔に触れるにとどめておりましたが、本日はClassic Shirt (柿渋×墨)について、少しだけ深く綴ってみたいと思います。
・Classic Shirt (柿渋×墨)



こちらの作品では、40番手の綿糸で限界まで高密度に織り上げた平織生地を採用しております。
生地をじっくりと揉み込み、タンブラー機で仕上げることで、高密度な生地が適度にほぐれ、ナチュラルな表情が引き出されています。
こちらの作品で目を引くのが、全体に深く刻み込まれた無数のシワ感と、柿渋と墨が交じり合うことで生まれた独自の染めムラです。
均一ではない染料の溜まりやかすれ、色の濃淡が、まるで長い年月を経たかのような静かな奥行きを生み出しています。


幾重にも重なる不規則なシワは、その陰影をより一層際立たせ、豊かな立体感を与えています。
こうした表情を生み出しているのは、気が遠くなるほどの実直な手仕事に他なりません。
灰草の作品は、全てデザイナー自らの手仕事から生まれています。
パターンを引き、生地を裁断し、縫い上げ、染める。アイコニックな真鍮ボタンも全て手で削り出したものです。
こちらの作品では柿渋と墨で染め上げています。
柿渋を何度も重ねて染め、さらに墨を重ねて手で揉み込んでいく。その一連の過酷とも言える工程を経ることで、機械による均一な生産では決して辿り着けない、手仕事ならではの不均一な揺らぎや、計算では生まれない不完全な美しさが作品の隅々にまで宿ります。


重厚で迫力のある見た目に対して、程よい軽さも持ち合わせており、季節を選ばずに着回すことができる絶妙なバランスに仕上がっています。
アームホールはやや細めに設定されており、すっきりとした腕周りのラインを描きます。
裾のラウンドは緩やかで控えめで、ボックス気味のシルエット。

当店では、シャツの空気感や世界観を残しつつも、より日々の装いの中で自然にバランスが取りやすくなるよう、着丈を通常よりも2.5cm短くオーダーいたしました。
このわずかな調整によって、生地の持つ力強い質感に対してややすっきりとした印象が加わり、現代的な空気感で纏っていただける仕上がりになっています。
こちらの作品はサイズ4。(169cm77kg)
肩幅 49cm
身幅 61.5cm
袖丈 68.5cm
着丈 81cm
袖を通し、身体のラインに沿うことで、豊かな表情や素朴な風合い、立体的な陰影がいっそう深く際立ちます。
店頭へお越しの際は、是非その深みのある独特な色合いと、無数に刻まれたシワの質感、私たちが手を加えた絶妙な丈感をじっくり味わってください。
なお、灰草の作品はブランドの意向により、ONLINE STOREでの掲載を控えさせていただいております。
作品の詳細につきましてはお電話かメールにてお気軽にお問い合わせくださいませ。
執筆者 中村鴻大


