長い着丈が引き立てる生地と染めの魅力
KLASICAの中でも、個人的にとても思い入れのあるモデル「SH-039」。
Solitaryをオープンした時に自分用として購入し、それから今日までこよなく愛用しているシャツです。
このBlogでは、同じSH-039というモデルでありながら、生地や染めによって全く異なる佇まいに仕上がったOver Sized Short Collar Shirts "SH-039"-MNをご紹介していきます。
・Over Sized Short Collar Shirts "SH-039"-MN(GRAY)


ゆったりとした身幅と膝近くまで届くほど長く設定された着丈に対して、襟は小ぶりで、アームホールも太すぎないサイズ感。大胆な長さがありながら、ただ大きいだけのオーバーサイズやルーズな見え方にはならない絶妙なバランスに整えられたロングシャツです。
両脇には深くサイドスリットが入り、ボタンを留めて着ても、前を開けてバサッと羽織っても、長い裾に動きが生まれます。パンツのポケットへ手を入れやすいという実用面も、この深いスリットならでは。

細々と書きましたが、何より長い着丈が靡くだけで雰囲気が出て、格好良いんですよね。笑
私が所有しているものはがっしりとした綿素材の生地でしたが、今作に使用されているのは、ウール100%のモスリン生地。
細番手のウール糸で織り上げた薄手の平織りの毛織物。向こう側が透けて見えるほど薄く、軽やかな質感の生地です。

ただ軽いだけではなく、ウール素材ならではの柔らかなドレープ感を備えているのも大きな特徴です。
身幅や着丈にたっぷりと分量がありながら、生地は身体に沿ってしなやかに落ちる。そこへ歩く動きや風が加わると、薄い生地が空気を含み、長い裾がふわりと靡きます。
がっしりとした生地では、その長さ自体がフォルムの迫力を活かしていましたが、今回のウールモスリン生地では、その長さが生地の揺らぎを大きく見せてくれています。
同じモデルでありながら別物に感じたのは、この違いが大きいのだと思います。
・Over Sized Short Collar Shirts "SH-039"-MN(ECRU)

そして、このウールモスリンにもうひとつ強い個性を与えているのが「籠染め」です。

籠染めとは、一度地染めを施した生地をまとめて籠へ詰め込み、その状態のまま再び染料へ浸す染色技法。
籠の中では生地が折れたり重なったりしているため、密着した部分には染料が入りづらく、隙間には染料が浸透します。
その染まり方の差によって、色の濃淡や滲みが不規則に生まれます。生地の詰まり方も染料の流れ方も毎回同じにはならないため、一枚一枚で仕上がりが異なり表情豊かに染め上がります。

ECRUには生成りの中へ淡い黄味やベージュがぼんやりと広がり、GRAYには黒に近い深い色の中へ濃淡が浮かぶ。

さらに染めによって細かなシボやシワも現れており、ナチュラルで素朴な風合いに仕上がっています。

この籠染めを、小さな面積で見せるのではなく、たっぷりとした身頃と長い着丈いっぱいに使っているのも良い。
軽やかなウールモスリン生地が風を受け、その上に広がる不規則な濃淡まで大きく揺れる。長い着丈、生地の軽さ、ウールのドレープ、そして籠染め。
それぞれの特徴がSH-039という形の中でこれほど気持ち良く噛み合っていると、こよなく愛用している身としても、またこのモデルが欲しくなってしまいます…。
残念ながらこのBlogでご紹介する前にECRUは完売してしまいましたが、GRAYはまだサイズもお選びいただけますので、是非店頭にて、このシャツならではのフォルムや生地の質感を味わってみてください。
※KLASICAの作品はこちらからご覧いただけます。
執筆者 中村鴻大


